Natsuyuki式

  ~ なつゆき式 ~  制作したMikuMikuDance用モデルデータなどをまったりと紹介するブログ

MMDモデルのお値段を考えてみる

2015.04.23 (Thu)
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先月アップしたイヴの動画、相変わらず濃い視聴者さんが多いようですね。
喜ばしいことです。
まったく、ミスしなくて良いので自動振り付けしてくれるソフトが欲しいですよw


今年は同人モデルの販売が出来ればいいななどと宣った手前、
最近あらためてモデルの値段が気になったので調べて考察してみました。
ただし、自分は業界の人ではありませんし、実際の3Dモデルの価格とは違うかもしれませんが、
モデルを作っている立場から相場を考えてみたいと思います。



とりあえず作業時間から考えてみましょう。
作り手中心の見方でこれが一番高価です。
あまり定かではありませんが、
とあるプロのモデラー(みんなも知ってる)がMMDのモデル制作に一月かかったと見た記憶があります。
プロらしい見栄えの好い出来の良いモデルと、基本ボーンに比較的単純な物理演算と標準モーフをセットの作業と考えます。
つまりこれを一月でこなすと……

個人的感想を述べさせてもらえば――はっきり言って、無理!
このペースは想像つきません。さすがプロ、仕事早いなと感心します。

単純に手が早いだけではなく、パーツの使い回しや、手順を簡略化するノウハウを相当蓄積しているのでしょう。
逆に言えばそのくらいの人が作っても一月の時間を要するともいえます。

MMDモデルはMMDという無料で遊べるソフトで使うものですが、だからといって決して安物ではありません。
ある程度のクオリティを維持した人型モデルなどは結構な時間を投資して完成されています。
モデルを作っている印象では、業務用のハイポリモデルもMMDモデルも作る手間はそれ程変わらないのではないかと感じています。
ある程度の頂点数に達すると作業の流れはそれ程数に関係なくなり、
それよりも造形の作り込み、テクスチャの描き込み具合、構造の複雑さなどが制作の手間を増大させる要因となっています。
もちろん、基本的にプロが業務用に作ったモデルの方が、それら全てがMMDモデルよりも上であろうことは間違いありません。が、しかしそれはMMDモデルよりも更に膨大な時間を投資した結果であるということです。
それはつまり人材とスキル、対価であるお金をよりかけた結果です。


3Dモデラーは明らかに特殊な技術を身につけた専門職です。
誰にでもできるものではありません。かなり向き不向きがあります。

一般的にITの専門家をはじめ、技能職の者を雇うとするとおよそ一月で80万くらいの報酬はみなければなりません。
まあ、何故か事業規模が小さくなるに従い報酬額は減ってしまうのですが。
下手をすると半額以下に……その差額は何処に?

それはさておき、
3Dモデラーは技能職であり、この報酬に当てはまるだろうと思われます。
ここから導き出されるのはMMDモデル一体作るのに一月かかることから、そのお値段はおよそ80万くらいが妥当ではないかと云うことです。
しかし、ちょっと待ってくだい。
それではモデラーが会社に所属していた場合、会社の取り分がありません。報酬を支払ったらパーです。
そのため請求額にはそれに会社の取り分と雇用に伴う社会保証費を上乗せする必要があります。
会社の取り分は請求額の四割から六割。
つまり80万の報酬の倍の160万くらいが制作会社にモデルを頼んだ時の費用となることになります。
更にこれが孫請けだったり、四次、五次だったりすれば、ぽんぽんと上乗せされ、発注元への請求額はあっというまに300万オーバーとかw
モデルの作り込みがすごくなり、制作時間も延びればそれに合わせてどんどん金額はつり上がるでしょう。
ですからプロの世界で見応えのある3Dモデル一体作るのに数百万かかったという話しもあながち嘘ではないと思われます。

まあ、そんなものです。そんなものですが自分もできればそんなバブリーでホワイトな環境で仕事してみたいものです(ハア
もっとも作り手に手渡される報酬が比例するは限りませんが。


さてお次は早い、安いを売りに出てきた某MMD企業に制作を頼んだ場合です。
久しぶりにサイトを訪れたのですが、初期の頃にあった価格を計算できるページがないですね。
とりあえず簡単な価格表があったのでそれと記憶を参考に。

ここではモデルを底、中、重量級と分けていますが、
大抵のデフォルメしてない人型MMDキャラはこの区分だと重量級に分類されるでしょう。
そしてこのクラスは40万がスタートです。
記憶ですとその頃も40万スタートでしたが、いろいろなオプションが必要であっという間に50万オーバー、作り込んだモデルだと軽く60万オーバーだったと記憶しています。
確かに前述のような企業にお願いする事に比べれば格段にお安くなっています。

安くできる要因はMMDをやっている野良モデラーにプロには頼めない低予算で発注するからでしょう。
実際どの程度モデラーに取り分から割り振られているか知りませんが、
副業としてモデル一体作って20万から30万の報酬が貰えるなら兼業モデラーならほくほくでしょう。
ただその価格だとプロのモデラーはなかなか仕事を受けてくれないかもしれません。まあ、手が早くて面倒臭いセットアップ無しで時間が空いいるなど条件次第ではやるかもしれませんが。

とりあえずMMDerが何かしらの利益に預かれるのはそれはそれで悪い話しではないかと思います。
サイトの様子を見ると本当にやっていけているのだろうかと他人事ながら心配になりますが。


さて問題なのがクラウドソーシングとかいうやつですか。
一体25万で日給15000とか時給2000とかで作る人がいますね。
25万の方は割ると制作期間17日で一月弱、
時給2000で一月だとおよそ36万ですか。
しかしこのくらいならまだ良い方で、下手すると一体10万とかで受けてしまう人もいるようです。
これはいくら何でも……
学生がアルバイトで作っているのでしょうか。
最低賃金割ってません?
手間暇を考慮すれば普通にバイトした方が簡単に稼げてしまうような金額です。
一見それなりの額に見えますがモデルを作るのには相当な時間を投資しなければなりませんし、技能に見合う対価だとは到底思えないのですが。
自分ならばこんな無駄をするくらいなら好きなモデルを作ることに時間を割きたいですね。

25万から36万くらいで受けている人も正直なところどうかと思います。
余程腕が立ち、短時間で仕上げることが出来れば見合うのでしょうが、やはりこの価格はちょっと疑問です。
個人の手取りとしては問題ないのかもしれませんが、それでもせいぜい知り合いに頼まれて裏でこっそりと個人で請け負うような金額で、表に出すもんじゃないですね。
それなりの質のモデルを企業がこの価格で受けることは難しいでしょう。
仮にクライアントがこの価格を参考に強引に発注を迫り、仕事を失いたくない営業が受けてしまい、それが常態化してしまったら、モデラーはいわゆるブラックIT土方になってしまいます。
総額が少ないので相対的に会社の取り分が多くなりモデラーの報酬が取り分の四割に落ちれば36万で受注しても月給15万とかです。

正直、技能職でこれは酷いです。
新人の試用期間の金額です。

こういう単価で仕事をしている方たちは業界全体を価格崩壊に巻き込んでいる自覚はないのでしょうか。
現在学生で、こうして実力を付けて将来は有名企業でモデラーの職に就き、その後は独立してやっていきたいと夢見ていてるのかもしれません。
しかしこんなことをしていては卒業する頃には会社が傾いて、否、それどころか業界全体が傾いてブラックと化しているかもしれないとは想像しないのでしょうか。
自分が人事なら余程目に付くものながない限り、自己中の人間として採用したくないタイプですね。

プロの技能の安売りは巡り巡って結局は己の首を絞める上に皆を不幸にします。
それでも経営者は人件費が安く済む海外に仕事を発注すると思いますが、
それを進めると国内の業界は疲弊し結局仕事が仕事として成立しなくなり己に跳ね返ってきます。
安くすることばかり考えていないで、かかる費用は計上する。それが高いと言われれば何故高いのかきちんと理由を説明し、相手に納得してもらう事が大切です。

SEの前例もあります。
本当は現代社会に必要不可欠な技能職のはずなのにデフレの流れのために末端では怖ろしいことになっています。同じ轍を踏まないためにも、もう少し視野を広くして考えた方が良いかと思います。
クライアントもそろそろいい加減に安ければ良いという考えを捨てるときです。
発注した仕事の先には人がいます、そこには生活があります。
そういうことを考えた価格設定にしなければなりませんし、無視すれば世の中おかしくなります、みんなで貧しくなっていきます。
それじゃ、競争に勝てない、仕事採れない、というかもしれませんが、更にその先にいる発注するクライアントやお客もそのような意識を持つべきなのです。その為にも大本から意識改革していく必要があるのではないでしょうか。
いい加減、デフレは脱出したいです。皆がそう思いちょっとずつ意識を変えていくしかありません。


――話し逸れました。


もの作りで高価なのは技術と時間と人件費です。

3Dモデルの制作はまさにそのものです。人力でなければ作れません。
しかも絵を描くのとは比べものにならない労力が必要です。
一人でモデルを完成させるには総合的な技術を要求されます。
絵が描けるからといって立体物が得意なわけではありませんし、
立体が得意だからといって3Dソフトがすぐに使えるわけではありません。
PCやアプリの扱いが上手いからといって絵が描けなければテクスチャも作れません。
さらにMMDではモデルのセットアップ能力も必要ですし、その為の知識も求められます。
それらを分業でこなすことも出来ますが、それこそより多くの人件費が必要になるでしょう。
モデルの完成度も年々高くなり、結構、ハードル高いですよ。
よくこの界隈にこれほどモデラーが棲息していると不思議に思えるほどです。
冷静に考えるとこれは怖ろしいことです。
普及型PCで3Dモデルを動かして遊んでいるだけでも大変なことなのに、
そのモデルの大半が無料配布されているのです。
それを普通に感じてしまっている今の感覚はある意味、異常なのかもしれません。


MMDモデルは大概ワンオフものです。
手などは使い回し可能ですがかなりの部分は基本モデルがあってもそこから新たに作らなければなりません。
同じ作品内なら制服のボディで頭部だけ作ることも可能ですが、顔やモーフを作るのは手のかかる作業です。
できが悪いと悲しいですからね。
セッティングも同様です。その為にはどうしても人の手と時間が必要であり、お金に換算した場合、人件費は高くならざるえないのです。


これらのことを踏まえた上でMMDモデルの価格を考えると、
さすがに某社の価格設定は結構的を射ているのかな、と思います。
それでもかなりお安く、個人的にはもう少し高く見積もっても良いのではないかと感じました。

もし基本的な構造の人型のキャラモデルを受注するなら、何かしら制作を簡略化できる要因がなければ、
50万くらいが個人で仕事を受ける場合でも最低ラインではないでしょうか。
まあ、これはあくまでも基準であって、そこに細かなテクスチャや難しいボーン構造、物理設定などが加われば価格は高くなるでしょう。逆も然りです。
自他とも認める一流のプロとなればやはり単価は80万を超えるであろうし、そこに需給のバランスやプレミアム価格も加われば一気に大台突破です。

この辺りが個人でMMDモデルを制作したときの価格の目安ではないかと思われます。
もちろん、企業に発注するするならばその倍の値段であることは語るまでもないでしょう。

ただそんなものは理想であり、現実の3Dモデルの価格と乖離していると仰る方もおられると思います。
そうなのかもしれません。自分はこの業界の者ではありませんし、実体を知りません。
それでも技能職の報酬額の目安はありますし、3Dモデラーの技能はそれに準ずるに足るものです。
というより、かなり複合的な専門技術の固まりです。
普通の人が一朝一夕で身につけられるものではありません。
また現在、プロのモデラーをしていてもこれからMMD対応モデルを作るとならば身につけなければならない技術があります。MMD用だからといっても決して簡単で安くはないのです。






と、ここまで長々とMMDモデルのお値段について考察してきましたが、
次のモデルはもちろん無料で配布しますよw
いままでの話しは何だったのか――

作りたいもの作って勝手に配布するだけなのでお金なんて取れませんて、旦那。
しかもいま制作しているモデルは10年代から未来を見据えたモデルです。
今度こそ、間違いなく、需要はないでしょう。
イヴやキィをダウロードしてくださった希少な皆様ともあまり接点のないモデルではないかと思います。
ボカロに関連するモデルではあるのですが、知名度があるのかないのかさっぱり見当が付きません。
ただ個人的に、MMDにこのモデルがないのはおかしいだろ! との発想のもと制作しています。
ちょっと斜め上かもしれません、いや、人によってはストライクかも?

期待せずにお待ちくださいw


ただし俺得モデル選手権には、間に合わないような……(遠い目




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